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金銅蔵王権現立像 B-194

 

鎌倉時代に制作された、力強い躍動感と荘厳な気品を兼ね備える、金銅蔵王権現立像の名品です。
蔵王権現は、吉野・金峯山を中心に発展した修験道の本尊として崇敬され、日本独自の神仏習合思想の中から誕生した権現信仰を象徴する存在です。その忿怒の姿は衆生を救済する強い慈悲の現れとされ、古来より山岳修行者の篤い信仰を集めてきました。
本像は、右腕を高く振り上げ、左手を腰に当て、一脚で岩上を踏みしめる蔵王権現特有の姿態を見事に表しています。全身に漲る緊張感と均整の取れた量感、翻る裙や衣文の流麗な造形は、鎌倉彫刻が到達した写実性と躍動感を余すところなく伝えています。
殊に面相の出来栄えは秀逸です。険しい眉を寄せ、鋭く見開いた眼、力強く結ばれた口元は忿怒相でありながら気高さを失わず、鎌倉時代仏師ならではの卓越した造形力を感じさせます。小像でありながら大型仏にも匹敵する精神性を湛えた優作です。
鋳造は極めて良好で、各部の輪郭は明瞭に残り、衣文の彫出も深く力強く表現されています。さらに像全体には当初の鍍金が各所に美しく残され、長い歳月を経て黒褐色へと落ち着いた古銅との対比が、金銅仏ならではの深い味わいと格調を生み出しています。
本像には、本来の据付構造を示すほぞが良好な状態で残されており、当初は厨子や須弥壇などに安置されていたことを偲ばせます。現在の岩座風木製台座は後補ながら、像の躍動感を引き立てるよう丁寧に制作されており、鑑賞性にも優れています。
現存する鎌倉時代の金銅製蔵王権現像は木彫像に比べ伝来例が少なく、市場に姿を現す機会は年々減少しています。加えて、本像は約29センチという堂々たる寸法を有し、保存状態、造形、時代性のいずれをとっても高い水準にあります。
その力感あふれる姿は、修験道美術の精神を今に伝えるだけでなく、鎌倉彫刻黄金期の造形美を凝縮した一軀として、仏教美術愛好家はもとより、本格的な古美術蒐集家にも高く評価されるべき逸品といえるでしょう。

金銅像の大きさ 高さ285mm(ほぞの高さ30mmを含む)×幅130mm×奥行70mm
台座も含めた大きさ 高さ320mm×幅165mm×奥行130mm
金銅像本体の重さ1,772g

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電話 025-526-8910