黒織部茶碗 Y-520【売約済】
桃山時代・17世紀の黒織部茶碗です。
腰部から口縁部まで真っ直ぐ立ち上がる造形と、胴部に形成された力強い轆轤目が、器に堂々たる風格と存在感を与えています。
ロクロでの水挽き成形後、胴を三方形に歪め、その三面のそれぞれの面に切り紙を用いて、簡潔な文様を表現するという巧みな技法が用いられています。
切り紙を当てた上から鉄釉を施し、その後に切り紙を外し、白く抜けた文様部分に長石釉を塗ることで、文様を浮き出させるという手法です。
まるで黒い小袖に白抜きの紋が映えるように、漆黒の地に白抜きの紋様が鮮やかに浮かび上がり、見る者に強い印象を与えます。
また、器を覆う鉄釉の深い漆黒色は、茶碗全体に趣をもたらし、時を経た風合いとともに奥行きと重厚感を生み出しています
さらに、施された金繕いの金色の線が、鉄釉の黒色と美しいコントラストをなし、器の表情を一層豊かにし、風雅な雰囲気を漂わせています。
力強い造形美と洗練された優雅さが見事に融合した茶碗です。
※口辺の矢印Aの部分が、撮影時の光の関係で釉薬が剥げているように見えますが、釉薬が掛かっています。少し白濁しているだけです。矢印Bの部分に金繕いが施されていますが、魅力的な景色を作りだしています。
直径123~129mm×高さ77~79mm
ご売約ありがとうございます。