ガンダーラ石仏・象 B-177【売却済】
4世紀~5世紀のガンダーラ石仏・象です。
象は、ガンダーラ美術の中で「托胎霊夢(たくたいれいむ)」他、いろいろな場面で登場する神聖化されたモチーフです。
また、仏教において慈悲と力を象徴し、悟りを開いた者が持つ精神的な力と結びつけられたり、象が法輪(仏法の象徴)や仏塔を守る存在として表現されることもあります。
ガンダーラ仏はギリシア彫刻の影響を受けていますが、4世紀のグプタ朝時代になると、次第にヘレニズムの影響を脱して、インド独自の様式であるグプタ様式が形成されました。
この像も、ギリシャ彫刻の影響を受けながらも、インド独自の様式が加わって来た時期に制作されたものと思われます。
像からは、ガンダーラ美術が栄えた時代、新しい文明が芽生え、次の時代へと動き始めたエネルギーが感じられます。
象の姿は、力強い造形に装飾性が加わり、エキゾチックな雰囲気を漂わせています。
聖なる夢の表現でもある象の姿に、古代の人々の祈りの形が表現されているようです。
神聖さを感じさせる象の姿は、ドラマチックでもあり、見る側の想像力を刺激します。
見る愉悦を感じさせてくれる魅力的な石仏です。
■「托胎霊夢(たくたいれいむ)」とは、仏教における重要な出来事の一つであり、仏陀の母親であるマーヤーが仏陀を宿す夢を見た出来事を指します。仏陀の母となるマーヤー(摩耶夫人まやぶにん)は、ある夜、白い象が右脇から胎内に入る夢を見たことをうけて、赤ん坊(仏陀)を身籠もることになります。この出来事は、ガンダーラ地域などで制作された仏教美術においてもしばしば 彫刻や絵画で表現されました。
像の大きさ 幅145mm×奥行63mm×高さ75mm
台座も含めた像の大きさ 幅200mm×奥行80mm×高さ145mm
お買上げありがとうございます。