ガラス絵イコン S-124【売却済】
19世紀ルーマニアで描かれたガラス絵イコンです。
ガラス絵イコンは、ルーマニアの中部の山国、トランシルバニアの農村の農民画家によって描かれたものです。畑での仕事のない冬がイコンを描く季節で、彼らはその描いたイコンを各地を廻って売り歩いていたようです。
民間信仰の所産であり、絵画という表現手段によって、彼らなりに、地上の人間存在や生と死の秘奥についての古いキリスト教の信条や教え、聖徒物語を表したものです。
親しみ易い素朴な描き方は日本の絵馬のようなものであり、温か味のある大らかなその絵は、柳宗悦がいうところの健康的な絵画と言えるでしょう。
ルーマニアのガラス絵イコンの熱心な蒐集家としては芹沢銈介が有名で、彼の作品にもそれらの成果が反映されていたと思われます。
このイコンの画題は「キリストの死を嘆く聖母たち」です。
大型のイコンで、多数の人数が登場する大構図です。キリストの枕辺と足元にいるのは、キリストの屍を十字架から降ろしたアリマテナのヨセフとニコデモ。聖母に向かって左には天使を一人おいて聖ヨハネ、その背後に天使、聖母の向かって右に、聖杯を持ったマリヤ・マグダレナともう一人の聖女、そして前景には小天使二人が描かれています。
(「ガラス絵 イコン画集」 柳 宗玄 読売新聞社 を参考にしました。)
キリストの死という悲しいテーマですが、キリストの復活を信じていた作者は、希望に満ちた明るい色調で描いています。優しい清潔な空気が漂っています。
見る者にも、優しい気分にしてくれる、心温まるような素朴な絵画です。
額の裏面に補強として矢印A・B・Cの板が貼り付けてありましが、強度的には問題はありません。
額の大きさ 縦495mm×横540mm×厚さ20mm
画の大きさ 縦382mm×横433mm
お買上げありがとうございます。