
朝鮮 刷毛目盃 Y-541【売約済】
朝鮮時代後期に焼かれた刷毛目盃です。
掌にしっくりと収まる小振りの姿に、かすかに残る刷毛目の化粧土が時代の風趣を湛えています。
胎土はやや柔らかく焼き上がり、いわゆる「柔らか手」の趣を備え、素朴さと温かみを併せ持つ器です。
この盃の見どころは、器面に浮かぶ多彩な景色にあります。
とりわけ盃に酒を満たした際に現れる「雨漏りの景色」は格別で、器にしっとりとした陰翳を浮かび上がらせます。
さらに高台周辺には自然に生じた「梅花皮(かいらぎ)」が現れ、釉の縮れが花のように広がる景趣を添えています。
雨漏りと梅花皮、二重の景色が同居する様は稀少であり、器は酒器の域を超えて鑑賞の対象へと昇華されています。
雨漏りや梅花皮などの景色が、古来より茶人に珍重されてきた理由も分かります。
酒盃としての実用性はもちろん、茶の湯の場における小茶盃としても格別の趣きを添えます。
移ろう景色を愉しみ、器とともに時を過ごす歓びは、本盃の最大の魅力と言えるでしょう。
画像①②③④は盃に水を満たした後の、雨漏りの状態を撮影した画像です。
この盃は、まだまだ育ちます。盃が育っていく姿を、お楽しみください。
※口辺部に小さな釉ハゲがいくつかありますが、それが景色を作り出しています。酒を満たすと雨漏りの景色は現れますが、高台を濡らすことはありません。
直径70mm×高さ45mm
ご売約ありがとうございます。