李朝民画「花鳥図」 S-130【売却済】
李朝時代後期の絹本の李朝民画「花鳥図」です。李朝民画の絹本は、その数が少ないです。
東洋では古来より、花は富貴や栄華を象徴し人生を表すものとして尊ばれ、仲むつまじく寄り添う鳥たちの情景は、美しく彩られた夫婦愛、家族愛の賛歌であり、絵を描く人、飾る人の祈りが込められています。
花鳥図は人生を楽しく豊かに過し、家族団欒で愛情深く生きることを絵を借りて表現していると言ってよいでしょう。その意味で花鳥図は、日々の生活に欠かすことができない屏風等に貼られ、主に婦人部屋や新婚夫婦部屋で飾られてきたようです。
この画は、その一部と考えられます。絹本なので裕福な家庭に飾られていたのでしょう。李朝民画の特徴でもある線の絵画です。画面は余白をともなった軽快な線の描写で満たされ、清々しい世界を作り上げています。花弁はふっくらとした曲線で描かれ、鳥の描写は愛らしいです。絵に軽みと可憐さが感じられ、どこか気品が漂っています。
李朝時代の民衆の願い、美への憧れの一端を感じ取ることができます。
■李朝民画は、李朝時代後期に庶民の実用的な民俗絵画として描かれました。結婚や還暦などの儀礼、装飾、魔よけ、開運などの実用的な目的のために、屏風や掛軸にしたり、壁に貼ったりして用いられたようです。
表現は大らかであり、素朴で大胆なところが、独特の味わいを出しています。宮廷付属の図画署の画家や両班の文人が描いた芸術的鑑賞の対象である正統絵画とは異なり、一般的に李朝民画には画家の署名や落款はなく、いつ誰が描いたのかは分かりません。
民画という言葉は、民芸運動の創始者である日本人の柳宗悦が、日本の大津絵などの民俗絵画を指して使い始めたものです。柳によって、それまでは収集研究の対象とは考えられていなかった李朝民画が、注目され収集研究の対象となりました。
画の状態は良いです。経年のヤケ等がありますが、李朝民画を楽しまれる方には許容範囲だと思います。民画の味わいでもあり、鑑賞を妨げるものではありません。
※撮影は額からガラスを外して行っていますが、お届けする際にはガラスを装着してお送りします。
額の大きさ 縦770mm×横420mm×厚さ20mm
画の大きさ 縦530mm×横270mm
お買上げありがとうございます。