古美濃灰釉筒茶入・筒盃 Y-555【売約済】
桃山時代から江戸時代初期に美濃窯で焼かれた灰釉の筒茶入です。
桃山の古窯の趣を今に伝える、味わい深い器です。
直筒形の姿で、胴のやや下に緩やかなふくらみを持つ造形はふくよかで、端正の中にもどこか愛着を感じさせます。
胎土は赤味を帯びた砂気のある美濃土です。釉は透明感を帯びた黄味灰釉で、焼成中に自然に流れた釉が胴の片側に溜まり、口縁外側にもわずかな釉だまりを見せて景色をつくっています。こうした釉の流れやわずかな歪みには、桃山茶陶の素朴で力強い作行きがよく表れています。
低い高台に細い畳付を備え、高台内には轆轤削りの同心円が残る、古作特有の造形をしています。畳付外周には窯中での焼成を示す焦茶色の焼き色が見られ、古窯の自然な焼き上がりをよく伝えています。あえてトチン等を用いず高台の内側に至るまで丁寧に仕上げられたその姿には、当時の美濃の陶工の技術が凝縮されています。
高さ約75ミリという小振りで収まりの良い寸法は手取りも良く、茶入として扱いやすい大きさです。また、筒盃としても手に吸い付くような絶妙なサイズ感ですので、茶入という格式を持つ茶道具を、酒器(筒盃)として愛でるという「見立ての美学」を楽しんではいかがでしょうか。
唇を預けた時の口当たりの良さ、掌に収まるほどよい重さは盃として心地よいです。
特に器全体を覆う伝世による貫入の景色の美しさは抜群で、茶人たちにより伝え、育てられた器ならではの奥行きを感じさせます。黄味を帯びた釉薬の柔らかな色彩とともに、春の景色を思わせる趣があります。お酒を含めば、春の香りを味わうような気分に浸れます。
桃山陶の美意識を感じながら、茶入、あるいは筒盃と多様に楽しめる器です。
まだまだ「育てがい」のある逸品です。
時代相応の口辺の小ホツ、擦れ等はありますが、美観を損なう大きな傷はなく、極めて良好な伝世状態です。
口辺の直径54mm×高さ75mm
ご売約ありがとうございます。













