テラコッタ・少年像 S-136【売却済】
古代ギリシャのテラコッタ・少年像です。
美しい理想的な身体美を追求した像は、身体にバランス感と生命感を宿し、誇張・抽象化しない自然主義的な表現は、鑑賞知識がなくてもその美しさが伝わってきます。
完成された美を追求した制作者たちの姿勢によって、神聖ささえ宿しています。
それらは、古代ギリシャ彫刻のクラシック期・ヘレニズム期の魅力でもあり、ルネサンス期には人間回帰という潮流の中で、当時の芸術家たちに愛され、手本とされ、大きな影響を与えたのも頷けます。
古代地中海、ギリシャ文明の眩しいような輝きを、内から発しているような像です。
像からは、古代ギリシャ彫刻のクラシック期・ヘレニズム期の彫刻の特徴でもある、片足に重点を置き、腰を上げる形「コントラポスト」がうかがえます。また、像の表現に自然主義的な要素が強いところから、箱には紀元前400~500年頃とありますが、時代は下る可能性があると思います。
■テラコッタとは、素焼きで仕上げる彫刻を指します。色は、淡く、くすんだ黄みの赤い煉瓦色です。メソポタミア、古代ギリシア、エトルリアにおいてみられ、いったん衰退しましたがルネサンス期にイタリアやドイツを中心に復興され、現在は各地域で制作されています。中国の俑、日本における縄文時代の土偶、古墳時代の埴輪もまた、製法としてはテラコッタです。古代においては、彫刻をこしらえたあと、天日干しにしていました。その後、火おけの灰の中に入れて焼き固めるようになりました。